CCS
CCSとは
Carbon dioxide Capture & Storageの略で、二酸化炭素の回収と貯留を意味します。
大気中の二酸化炭素では、地表からの輻射熱を吸収しやすいため、温室効果ガスの1つとされています。科学が発達し、産業が急速に発展したことで、産業活動による二酸化炭素の大気への放出量は劇的に増大しました。20世紀後半から地球は温暖化していると考えられていますが、産業活動など人為的に排出された温室効果ガスがその要因であるとする説が主流です。そのような背景で地球温暖化対策として考えられたのがCCSという技術です。
CCS技術は、発電や製鉄業などで排出された二酸化炭素を大気中に放出せずにその場で回収し、地中へ貯留する技術で、次の3つの要素(段階)に大きく分けることができます。
1.分離・回収 | :工場や発電所等で排出されたガスなどから、CO2を分離・回収 |
2.輸送 | :分離・回収されたCO2を貯留地点まで輸送 |
3.貯留 | :輸送されてきたCO2を地下1000m以深の貯留層(帯水層等)に圧入・貯留 |
CCSは、効果的な地球温暖化防止技術の1つであると考えられているため、日本の他にも、EU諸国や北米、オーストラリアなど世界各地の先進国で技術開発や制度面での整備、実証プロジェクトなどが進められています。また、IPCC(気候変動に関する政府間バネル)やCOP(気候変動枠組条約締約国会議)、G8(主要8か国首脳会議)、APP(アジア太平洋パートナーシップ)など国際的な話し合いの場でも、CCS技術の各国への導入に向けた議論が活発に行われています。さらには、中国やインドなどの新興国もCCSに関するプロジェクトに積極的に参加している状況となっています。
QJサイエンスの取り組み
CCSは極めて学際的なプロジェクトであるため、異分野間の知識共有が今後の技術発展の鍵となっています。また、CCS技術の実現には、その地域におけるCCSに対する理解や社会的な合意が必要となってくるため、前述したようなコミュニケーションも極めて重要になると考えられます。
CCSに対するQJサイエンスでの取り組みはまだ始まったばかりですが、以下のような活動を通して、CCSに関するあらゆる知識や情報の共有化を図るようにコミュニケーションの場を設けたり、積極的なサポートを行ったりしています。
- パブリックアウトリーチ・プログラムの作成サポート
- CCSに関する知識や情報の共有システム構築サポート
- CCSに関する国際会議での発表
関連する論文
- Advanced KMS for Knowledge Sharing and Building Confidence in CCS
- A Structured Approach to Building and Sharing Confidence
- Building confidence in CCS through on-line deliberation
- Confidence building through argumentation
- CO2地中貯留に関する信頼性醸成手法の開発 Development of Methodology for Building Confidence in the Long-Term Effectiveness of Geological Storage of CO2