地球科学

ファジー地球統計シミュレーション

 地下深部の不均質な岩盤特性分布に対して,私たちが入手することのできる情報は,疎らに分布するボーリング孔での実測という「点のデータ」の集合に過ぎません。このような状況で,疎な実測点のデータを統計的に内挿する手法として開発されたのが地球統計学です。しかしながら,放射性廃棄物処分のように,社会的要因や天然バリアとして期待する岩盤の損傷を抑制する必要のために実測データ数が少ない場合には,通常の地球統計学的手法だけでは推定結果に含まれる不確実性が大きすぎることがあります。

そこで,QJサイエンスは,着目する岩盤特性についての実測値という点のデータ(ハードデータ)に加えて,弾性波や電磁波等を用いた物理探査の画像や地史その他の地質学的知見といった間接的な情報(ソフトデータ)を組み合わせて地球統計学的手法を用いるファジー地球統計シミュレーションの手法を開発し,東濃地域の不均質地質環境のモデル化などのプロジェクトに適用しています。

稀頻度事象の発生確率評価

 大規模な地震や火山噴火といった天然事象の発生確率は極く小さいものですが,一旦これらが起きると巨大な影響が生じることとなります。これらの極低確率巨大インパクトの事象は,リスク評価上重要な位置づけを持つこととなりますが,稀頻度の事象に関するデータは必然的に少ないため,リスクの予想には大きな不確実性が含まれざるを得ません。

QJサイエンスは,極値統計学やベイズ統計学の手法を用いて,稀頻度事象のリスク評価に取り組んでいます(天然事象の影響を考慮した地層処分のリスク評価 )。特に,ベイズ統計において尤度関数を種々の情報に基づく専門家の判断に基づくファジーメンバーシップ関数で置換する手法を用いることによって,稀頻度事象のデータ不足を解消することに効果を上げています。

地下水化学モデリング

 放射性廃棄物処分や二酸化炭素の地下貯蔵では,地下に固定化した物質が地下水に溶け出し,岩盤への吸着や脱着を繰り返しながら移動することが予想されます。そこで,放射性物質や二酸化炭素の溶解,沈殿及び吸脱着に影響を与える地下水化学及び岩石の鉱物学的特徴を把握することが必要となります。また,地下水化学や岩石の鉱物学的特徴は,現在生じている地下水の混合状況(淡水と海水あるいは熱水など)や過去に他の地下水が浸入した履歴(酸化性の地表水との反応による酸化物の存在など)を示すことから,現在及び過去の地下水流動を読み解く上で鍵となる情報を提供することとなります。

QJサイエンスは,地下水化学についての主成分分析等の統計的手法や地下水水質形成過程についての反応拡散モデリングといった数学的な手法を地球化学の専門知識と組み合わせることによって,東濃ウラン鉱床のナチュラルアナログ研究などでユニークなコンサルテーションを行っています。

3次元地質構造モデリング

 地質構造の理解のためには,ボーリングデータや物理探査などの様々な断片的情報に基づき,個々のパーツが整合的に組み合わされた3次元モデルを作成することが必要です。これまでの3次元地質構造モデルは,不確実な情報から否定できない複数の選択肢のうちの一つを選択して作成するものでしたが,この方法ではいわば最良推定モデルだけが得られ,他の可能性あるモデルオプションは淘汰されてしまいます。

そこで,QJサイエンスは,3次元地質構造モデリングを種々の不確実性解析手法やEVIDENTIAL SUPPORT LOGICと組み合わせることにより,考慮すべきモデルバリエーションの多様性とそれぞれの確からしさを表現することを試みています。

 

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