教師あり機械学習ツール
放射性廃棄物の地層処分に関する安全評価に関して数値解析グループが取り組んでいる分析では、評価対象として、高解像度の解析モデル、多数パターンの地質環境及び多数の廃棄体や多数の核種を考慮することが求められる。これら分析においては、数値解析における膨大な計算負荷の発生と、膨大な解析データの分析把握の困難さが問題となり、解決すべき課題となっている。この課題に対して、当グループでは、近年技術革新が目覚ましい機械学習を利用した2つの解析技術ツールの開発を行った。1つは、膨大な計算負荷を軽減するためのツールであり、もう1つは、膨大なデータから特徴量を抽出するツールである。前者は、教師あり機械学習を用いたツールであり、以下に概要を示す。
- 膨大な計算負荷低減を目的とした教師あり機械学習ツール
安全評価で分析する核種の移行挙動は、処分施設の状態(形状や透水性、拡散特性等)と、地下岩盤の状態(岩種分布、及び各岩種での亀裂分布や透水性、拡散特性等)で規定される。当分析にはランダムウォーク法を用いた粒子追跡解析を行う必要があるが、この分析は計算負荷が非常に大きいことが課題である。そこで、教師あり機械学習の手法の1つであるニューラルネットワークを用いて、処分施設や岩盤の状態を説明変数として、取得したい粒子の移行挙動(移行率)を目的変数として、一部のランダムウォーク解析結果をもとに、他の解析結果を予測評価するツールを開発した。

教師あり機械学習ツール(予測評価ツール)の概念図

